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東京地方裁判所 昭和41年(特わ)278号 判決 1968年5月02日

本店所在地

東京都品川区小山一丁目五番八号

新輝合成株式会社

(右代表者代表取締役 朴相在)

本簿

大韓民忠清南道保寧郡青蘿面玉溪里七二二番地

住居

東京都品川区小山一丁目五番八号

新輝合成株式会社代表取締役

山下鶴夫こと朴相在

大正一一年一二月一二日生

右被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官稲垣久一郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告新輝合成株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人朴相在を懲役四月に各処する。

但し、被告人朴相在に対し、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告新輝合成株式会社及び被告人朴相在の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告新輝合成株式会社は、東京都品川区小山一丁目五番八号に本店を、また埼玉県行田市若小玉二、五九〇番地に支店を置き、合成樹脂成形品の製造、販売等を営業目的とする資本金七、〇〇〇万円(設立当初の資本金は五〇〇万円であつたが漸次増資して昭和三八年一一月二日現在額となる。)の株式会社であり、被告人朴相在は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、同被告人は右会社の業務に関し、法人税を免れるため架空仕入を計上したり、棚卸を除外して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、昭和三七年三月二一日より昭和三八年三月二〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は別紙修正損益計算書記載のとおり八、三九五万三九五七円でこれに対する法人税額は三、一三八万五、〇三〇円であつたにもかかわらず、昭和三八年五月二〇日、東京都品川区北品川三丁目二六二番地所在の所轄品川税務署において同署長に対し、所得金額は七一七万二、八七八円で、これに対する法人税額は二三六万五、〇六〇円である旨内容虚偽の確定申告書を提出して正規の法人税額と申告税額との差額二、九〇一万九、九七〇円については法定の納付期限内に納付せず、もつて不正な行為により右同額の法人税を逋脱したものである。

(証拠の標目)

(一)  全般について、

一、登記官黒木学作成の登記簿謄本

一、証人加藤亨の当公判廷における供述

一、大蔵事務官川久保正徳作成の税額計算書

一、押収にかかる総勘定元帳計三冊(昭和四一年押第一、五五三号の三、四及び五)並びに法人税申告書等綴計二綴(同号の一一及び一二)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書五通並びに検察官に対する供述調書三通

一、被告人の当公判廷における供述

(二)  別修正損益計算書記載の各勘定科目のうち

(1)、主要材料仕入高について、

一、松成勇作成の上申書及び同人の大蔵事務官に対する質問てん末書並びに検察官に対する供述調書

一、鈴木新市の検察官に対する供述調書

一、押収にかかる仕入帳一冊(前同押号の一)、売上原簿四冊(同号の九)、呉羽商店関係メモ一枚(同号の一〇)並びに手形受払帳一冊(同号の一五)

(2)  期首主要材料、同補助材料、同部品、同仕掛品、同製品各棚卸高について、

一、証人緒方多賀雄の当公判廷における供述

一、大蔵事務官緒方多賀雄作成の昭和三七年三月二〇日現在棚卸調査書

一、押収にかかる在庫品調査表一綴(前同押号の二)、昭和三七年五月二〇日現在極秘経理報告書一綴(同号の七)並びに月間経理報告極秘綴二綴(同号の八)

(3)  期末主要材料、同補助材料、同部品、同仕掛品、同貯蔵品、同製品、同金型各棚卸高について、

一、鈴木新市の検察官に対する供述調書

一、押収にかかる貸借対照表一綴(前同押号の六)、昭和三九年三月在庫明細表一枚(同号の一三)並びに昭和四〇年三月二〇日在庫表一綴(同号の一四)

(4)  右期首及び期末各棚卸高を通じ

一、証人川尻清次郎、同上野行男、同久東貴憲、同森久雄の各当公判廷における供述

(5)  修繕費について、

一、押収にかかる経費明細帳一冊(前同押号の一六)

(6)  特別減価償却費、貸倒準備金繰入、価格変動準備金繰入について、

一、荏原税務署長上村竜男作成の証明書

(7)  受取利息について、

一、大蔵事務官川久保正徳作成の銀行調査書類

(8)  雑収入について、

一、証人森久雄の当公判廷における供述

一、大蔵事務官本林照利作成の査察官調査書類(朴相在個人収支調査書)

一、大蔵事務官川久保正徳作成の朴相在個人収支調査書

(法令の適用)

被告人朴相在の判示所為は、昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、その改正前の法人税法第四八条第一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内において被告人を懲役四月に処し、なお諸般の情状を考慮し刑法第二五条第一項を適用して本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

被告新輝合成株式会社については、その代表者たる被告人朴相在が同会社の業務に関して前示違反行為をしたものであるから、昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、その改正前の法人税法第五一条第一項に則り同法第四八条第一項の罰金刑を科すべく、而して本件においてはその免れた法人税額が五〇〇万円を超えるので、同法第四八条第二項を適用して五〇〇万円を超えその免れた法人税額に相当する金額以下で処断することとし、よつて同被告会社を罰金七〇〇万円に処する。

訴訟費用については、それぞれ刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用して被告新輝合成株式会社及び被告人朴相在の負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 近藤暁)

修正損益計算書

新輝合成株式会社

自 昭和37年3月21日

至 昭和38年3月20日

<省略>

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